僕とお姉ちゃん
僕から見たお姉ちゃんはとてもかっこよくて、かわいくて、人気者。
要領よく何でもこなして、世渡り上手ですごく器用。
とてもすごく自慢のお姉ちゃんです。
周りから見てもすごく仲良しに見えるみたいなので、僕も仲良しなんだと思っていますし、何より大好きです。
これはよく聞かれることなんですが、僕とお姉ちゃんは全く似ていません。
僕が黒ならお姉ちゃんは白。僕が男の子に見えるならお姉ちゃんは女の子。
僕が男嫌いならお姉ちゃんは女嫌い。
小さいときから同じように育てられたけれど、全くの正反対に育ちました。
それはもう周りも不思議に思う程度には。
けれど、こんなに誇れるお姉ちゃんだけれど、僕の最大のコンプレックスでもあります。
どうしてでしょう。どうしてだろう。
敢えて言うのなら僕のせいなんでしょう。
正直言って僕は面白みのある人間ではないし、これといって誰かに誇れる特技もないです。
僕が僕の友達である人たちと遊べば大抵「お姉ちゃんは?」ときかれていました。
僕の恋人であった人が僕のお姉ちゃんを目的にしていた事もありました。
それも当然でしょう。ショックであったとしてもそこに怒りを覚えたことはありません。
どんなになにがあったところで僕はお姉ちゃんの劣化版だと自分でも思っているんですから、そこに腹を立てる必要なんてなかったんです。
あえて腹を立てるところがあるとすれば、それがお姉ちゃんの邪魔になる行為であることくらいです。
こんなに、されようと、こんなになろうと僕はお姉ちゃんを裏切らないと心から決めたできごとがあります。
確か僕が中学1年で、お姉ちゃんが中学3年の時に、両親が用事で夜出かけている時に自転車で二人乗りをしていた時に、僕は悪いことをしているということに少しだけドキドキしながら自転車をこいでいた時お姉ちゃんが小さな声で「るりが他人の男の人ならよかったのに」と呟いたことです。
背中には少しだけ濡れた感覚。
お姉ちゃんが当時の恋人とうまくいってないことは知っていました。
それでむしゃくしゃして僕を連れ出したことも。
その時僕は息が止まりそうなくらい苦しくなりました。
僕までなんだか泣きそうになって、「僕もそう思うよ」と答えたのを覚えています。
悲しかったんです。どれだけ自分勝手でも、有能なお姉ちゃんがこうして涙していることが。
僕にはたまらなかった。
もちろんそこに恋心なんてそんざいしません。ただ苦しさに任せて口に出しました。
そんなこともはやお姉ちゃんは覚えてないかもしれないし、そう口にしたことさえ黒歴史になっている可能性はありますけど。
僕はお姉ちゃんのことを考えるとこの苦さをいまだに思い出して、絶対に裏切らないと決めています。
ただのシスコンの戯言ですね。
嘘にしない、裏切らない、絶対に助けてと言われたら助ける。永遠にそう思い続けるます。
最愛で、最大のコンプレックスのお姉ちゃんは僕の宝物。